皮膚のバリア機能高める化合物発見

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皮膚のバリア機能を高めてアトピー性皮膚炎を治療

(2013年9月17日)

アトピー性皮膚炎の症状を改善する化合物を、京都大医学研究科の椛島(かばしま)健治准教授や大塚篤司研究員、アステラス製薬らのチームが世界で初めて発見しました。ヒトの皮膚細胞で効果が確認され、マウスに飲ませて症状を治すことに成功したそうです。

 

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下し、侵入した異物(アレルゲン)に免疫が過剰に反応して起こるアレルギーです。皮膚のバリア機能を保つうえで重要な役割を果たすのが、「フィラグリン」というタンパク質とされています。

 

アトピー性皮膚炎の人は、皮膚を保湿し、アレルゲンをブロックする「フィラグリン」の量が通常の数分の1に減少し、その働きが低下していることが知られています。

「フィラグリン」は、「プロフィラグリン」として表皮で作り出され、これが分解することで「フィラグリン」となり、皮膚のバリア機能を担います。また「フィラグリン」は、さらに分解され、天然保湿因子として働きます。

今回の京都大チームの研究は、この「フィラグリン」の生成をコントロールすることで、アトピー性皮膚炎が改善できるかどうかということでした。

 

「フィラグリン」の働きを強める化合物は「JTC801」

今回、アトピー性皮膚炎を改善させる効果があることが分かった化合物は、「JTC801」という有機化合物です。これを培養したヒトの皮膚細胞に加えると「フィラグリン」の量が約10倍に増えました。また、アトピー性皮膚炎のマウスに毎日飲ませ続けると、4週間後から、目の周りや耳の湿疹などの症状が改善されました。

 

つまり、「JTC801」という化合物が、「フィラグリン」の生成を促し、皮膚のバリア機能を高め、アトピー性皮膚炎の改善に効果があることが世界で初めて証明されたのです。

 

アトピー性皮膚炎の治療法が変わる

アトピー性皮膚炎の治療には、おもに免疫反応を抑えるステロイドなどの外用薬が使われます。しかし、皮膚が薄くなったり、抵抗力が落ちて病原体に感染しやすくなるなどの副作用の問題があります。

 

現在の治療は、アレルギー反応を抑制するものですが、今回の発見で、皮膚のバリア機能を高めることにより、症状を引き起こす物質(アレルゲン)を皮膚に侵入させないようにすることが可能となるのです。椛島准教授は、「10年後をめどに実用化したい」と話しています。